1. 接続法現在

用法

1) の「主節が願望,必要性,可能性,疑惑,心配,感情をあらわすとき」の続きです。

接続法をとる「必要性」をあらわす主な表現
 
(il) faut que … 「〜しなければならない」
il est nécessaire que … 「〜する必要がある」
(il) vaut mieux que … 「〜するほうがいい」
Maintenant il faut vraiment que j'y aille.
今,私は本当に(そこへ)行かなければなりません。
(Il) vaut mieux qu'on se quitte.
私たちは別れたほうがいい。

どれも非人称の il を主語とする構文だね。非人称の il がカッコのなかに入っているのは,くだけた日常会話では,非人称の il はしばしば省略されることがあるからだよ。

Faut que j'y aille.
私はそこに行かなければなりません。

次は,可能性をあらわすときについてです。

接続法をとる「可能性」をあらわす主な表現
 
c'est (il est) possible que … 「〜かもしれない,ありえる」
c'est (il est) impossible que … 「〜はできない,ありえない」
c'est (il est) rare que … 「〜はまれである」
il se peut que … 「〜かもしれない,ありえる」
il arrive que … 「〜することがある」
il semble que … 「〜あるらしい」
Il est possible qu'il pleuve demain.
明日は雨が降るかもしれない。
Il arrive qu'il neige en octobre, mais c'est assez rare.
10月に雪が降ることもあるが,かなりまれだ。

最初の3つの表現は,英語にそっくりな表現があるね。
il semble que … は英語の it seems that … にあたる表現だね。

先生,質問!

非人称の表現に導かれる節のなかではいつも接続法なのですか?

そんなことはありません。接続法をとる非人称表現もあれば,そうでないものもあります。非人称でも接続法をとるのは,「願望,必要性,可能性,疑惑,心配,感情」をあらわす表現に限られます。そのような意味を持っていない非人称表現では,接続法ではなく直説法を使います。

Il est évident qu'il a tort.
彼が間違っているのは明らかだ。

しかし,否定的な意味になると接続法をとります。

Il n'est pas évident qu'il ait tort.
彼が間違っているかどうかは明らかではない。

il est probable que … 「〜はありそうだ」は直説法をとるから要注意!

Il est probable qu'il est malade.
たぶん彼は病気なのだろう。