1.目的語の働きをする人称代名詞

1)目的語の働きをする人称代名詞の位置

目的語の働きをする人称代名詞がどんな形をしているのかは後で見ることにして,目的語の代名詞の位置と直接目的と間接目的の区別について見ておきましょう。

フランス語の目的語の働きをする代名詞は動詞の前に置かれます。

 

肯定文:主語+目的語の働きをする代名詞+動詞 

主語 動詞 目的語    
Je connais Eric. 訳: 私はエリックを知っています。
       

        ⇦⇦⇦⇦目的語の代名詞le(彼を)       

       
Je le connais. 訳: 私は彼を知っています。
主語 目的語 動詞  


例文中の le は定冠詞と同じ形をしていますが,ここでは代名詞で,Eric に代わる働きをしています。このようにフランス語では目的語の働きをする人称代名詞は動詞の前に置くのですね。それでは,否定文中ではどこに置けばいいのでしょうか?

否定文中でも目的語の働きをする代名詞は動詞の前に置かれます。 

 

否定文:主語+ne目的語代名詞動詞+pas

主語   動詞   目的語
Je ne connais pas Eric.
訳:私はエリックを知りません。
       

          ⇦⇦⇦⇦目的語の代名詞 le(彼を)      

       
Je ne le connais pas.
主語   目的語 動詞  
訳: 私は彼を知りません。

結局,目的語の代名詞は否定文中では,ne の後,動詞の前だね。

 

目的語の代名詞の位置に関して,次の2点に注意しましょう。

・代名詞が不定詞の目的語になっている場合
・代名詞目的語が肯定命令文で使われている場合

 

では,もっと詳しく順に見てみましょう。

不定詞(動詞の原形)の代名詞化された目的語

ここで,不定詞(動詞の原形)の代名詞化された目的語は不定詞のすぐ前に置かれる。

主語   不定詞  目的語

Je  vais  voir     Eric.

私はエリックに会うでしょう。

Je vais le voir.

× Je le vais voir.

私は彼に会うでしょう。

le は,上の例文では不定詞(voir)の目的語なので,voir の前に置きます。

 

次は肯定命令文の場合について見てみましょう。実は,「目的語代名詞は動詞の前」という原則の例外なのです。

肯定命令文中の代名詞目的語の位置

動詞代名詞目的語」の語順になります。

Finissez votre travail ! あなたの仕事をやってしまいなさい。
Finissez-le ! それをやってしまいなさい。

ということは,肯定命令文中の代名詞目的語の位置は英語の場合と同じですね。肯定命令文中の目的語の代名詞について,くわしくは自律学習コーナーで練習しましょう。