1. 代名動詞(1)直説法現在形

用法

代名動詞には,さまざまな用法があります。代名動詞のあらわす意味によって次の5つの用法に分類できます。

  1)再帰的
  2)相互的
  3)中立的
  4)受動的
  5)本質的

1)再帰的

次の例文を見てください。

これは普通の他動詞の構文で,tu「きみ」 のする動作 laver「洗う」は ta fille「きみの娘」に向けられています。

 
 
Tu laves ta fille ?
訳:きみはきみの娘の体をあらってあげますか?
Oui, je la lave. ( ← je lave ma fille )
訳:ええ,私は彼女を洗ってあげます。

もちろん答えの文でも同じですね,je「私」のする動作 laver「洗う」は目的語代名詞 la(ta fille)「彼女(私の娘)」に向けられています。

このように普通の動詞を用いた場合,動作をする人(主語)と動作を受ける人(目的語)は異なっていますね。

それに対して,代名動詞の場合は,動作をする人(主語)と動作を受ける人(目的語)は?

次の代名動詞の文ではどうでしょう?

主語 elle「彼女は」のする動作は目的語 se に向けられていますが,目的語の se「彼女を」は主語 elle と同一人物を指しています。

ということは,主語は自分自身に対して laver「洗う」という行為をしているということですね。このように主語のする行為が主語に帰ってくる用法を「再帰的」用法と呼んでいます。

代名動詞の再帰的用法
Tu laves ta fille ?
訳:きみはきみの娘の体をあらってあげますか?
Non, elle se lave toute seule.
訳:いいえ,彼女は自分で洗います。

次の例文の代名動詞も再帰的用法です。

Je me peigne.
訳:私は(私の)髪をとかす。

再帰的用法は,英語にもあったよね。

たとえば,He killed himself.

2)相互的

次の例文を見てください。

これも再帰的用法と似ていますが,特に「お互いに〜し合う」という意味の場合を「相互的」用法と呼んでいます。

代名動詞の相互的用法
Vous vous connaissez ?
訳:あなたがたは知り合いですか?
On se téléphone ?
訳:また電話をかけあうようにしよう!

相互的用法の代名動詞の主語

 

相互的用法の代名動詞の主語は,いつも複数形か複数の意味の on

英語だと,「お互いに」と言いたいときは,each other を使うよね。

「お互いに」を強調したいとき
 

相互的であることを強調する必要があるときには,l'un l'autre または l'un à l'autre を付けます。

主語が女性複数なら,l'une l'autre または l'une à l'autre を使います。

3)中立的

3番目は,無意識的な行為,自然に起こったことをあらわす「中立的」用法です。

代名動詞の中立的用法
Je me réveille à 6 heures d’habitude.
訳:いつもは6時に目が覚めます。
De nouvelles forces politiques se lèvent dans ce pays.
訳:この国では新しい政治勢力が台頭してきている。

この用法の特徴は,réveiller 「目を覚まさせる」が se réveiller 「目が覚める」のように,他動詞的な意味が自動詞的な意味になることです。

だから,この「中立的用法」は「自発的用法」とも言うんだね!